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エリニッサ・カート

エリニッサ・カート
名前エリニッサ・カート
年齢16歳
身長150cm
体重
職業盗賊(シーフ)
性格明るく、面倒見がよいが、毒舌。

盗賊と魔術師

エリニッサは、道行く人々を見下ろしながら、ため息をついた。
「なかなか、良さそうなのがいないなあ」
ひと際、大きな宿屋の屋根の上である。ゴロンと、うつぶせになって、大通りを見下ろしている。いつのまにか、エリニッサの頭の上に陣取っていた野良猫が、みゃあ、とのんきに鳴いた。日差しもうららかで、眠くなってくる。
いったい何をしているのかというと、獲物を見つくろっているところである。獲物、つまり財布をいただく相手をである。何しろ、旅はお金がかかるのだ。
「あいつ・・・魔術師かな?」
馬に乗ったフードつきのマントをかぶった男に目をとめる。荷物と一緒にくくりつけられた、杖がひと際目をひく。特徴的な形は遠目でもわかる。魔術師の杖だ。それに、なんだか、尊大な雰囲気がぷんぷんする。
「よし、あいつに決定」
エリニッサは、路地裏に向かって飛び降りた。音も立てずに着地し、大通りに出る。
距離を保ちながら魔術師を追いかける。
食事をとるつもりだろう、魔術師が料理屋に入った。時間をおいて、エリニッサも中に入る。
店の中は、混雑していた。狭い店内に、丸テーブルや椅子がびっしりと並んでいて、客が体をくっつけるようにしながら食事をとっている。
魔術師は、不機嫌そうにテーブルに陣取り本を開いている。
(うわぁ、憎たらしい顔してるなあ)
整ってはいるが、冷血そうで、偉そうな顔つきだ。おまけに、態度が悪い。人の中を縫うように料理を運んできた女給仕を睨み付け、嫌味をいうは、いかにも不味そうに料理を食べるは、貧乏ゆすりはするは、最低だ。
エリニッサは、ちょっと考えると、魔術師と同じテーブルについた。
「相席してもいいですかあ?」
「話しかけなければな」
魔術師は、顔も上げずにいった。本を読みながら、ホークを口に運んでいる。相変わらず不味そうな顔だ。
女給仕にサラダを頼み、エリニッサは、ぼんやりとして待った。もちろん、目は、魔術師の様子をしっかりと、探っている。どうやら、財布は、腰のベルトにくくりつけてある袋のようだ。中身は、結構入っている。
女給仕がサラダを運んできた。エリニッサは、懐から、銅貨を数枚だして、テーブルに置いた。
と、コインの一枚がテーブルの下に落ちる。エリニッサはそれを拾おうと、テーブルの下に体を滑り込ませ、それから、頂いた。魔術師のお財布を。ナイフを軽く滑らせて、紐を切ってやったのだ。魔術師にしてみれば、体があたった程度の認識しかないだろう。
それから、エリニッサはサラダをゆっくりと味わって食べた。
食べ終わり、席を立ったとき、異変は起こった。何か、見えない壁のようなものにぶつかって、先に進めないのだ。
魔術師が顔をあげた。勝ち誇った顔だ。見下した顔だ。
「いい教訓だな、盗人。魔術師から盗みを働くことが、どれほどおろかなことか、わかったか?」
「いつ気づいたのよ」
エリニッサは悔しさを微塵も見せず、落ち着いて聞いた。
「ふん、最初からに決まっているだろう。私が、お前のような、ちんけな小娘ごときに出し抜かれるわけがない。うまくいったと思わせて、最後の最後で踊らされていたことに気づく。どうだ、悔しいか? んっ」
「い、嫌な奴! あんた、本当に、最悪!」
「ふっ、おかげで私はいい気分で食事ができる。料理は不味いし、店も汚いし、うるさいし、最悪の気分だったが、盗人を出し抜けたおかげで、すがすがしい」
エリニッサは、盗んだ財布を魔術師の顔に投げつけた。頭にきて、とっさにしてしまった行動だが、それが正解だったようだ。見えない壁が取り払われ、エリニッサは自由になった。店を飛び出すとそのまま路地裏に逃げ込む。
(見てなさいよ! 必ずほえ面かかせてやるから)
エリニッサは、魔術師の顔を脳裏に刻み付け、復讐を誓うのだった。

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